プログラム&曲目解説
くにたちバロックアンサンブル第1回演奏会
2004年6月12日(土)
13:30開場 14:00開演
アミュー立川(立川市市民会館)小ホール
プログラム
H.パーセル / 「アブデラザール」組曲
G.Ph.テレマン / リコーダーと弦楽のための組曲 イ短調
=休憩=
J.S.バッハ / オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1060
(演奏 鵜の木 コレギウム ムジクム)
F.ドゥランテ / 協奏曲第1番 へ短調
G.F.ヘンデル / 合奏協奏曲 作品6-2 へ長調
曲目解説
H.パーセル / 「アブデラザール」組曲
Henry Purcell (1659-1695) / Suite “Abdelazar, or the Moor’s Revenge”
1. Overture
2. Rondeau
3. Aire
4. Aire
5. Minuett
6. Aire
7. Jigg
8. Hornpipe
パーセルはイギリスのバロック音楽を代表する作曲家で、「イギリスのオルフェウス」と称えられます。その才能は早くから認められ、20歳の時には10歳年上の先輩音楽家であったブロウがウェストミンスター大聖堂のオルガニストの地位を辞してパーセルに譲り渡したほどです。しかし36歳の若さで世を去りました。
今日演奏する曲はパーセル死去の年に上演された演劇「アブデラザール、またはムーア人の復讐」の劇音楽として作曲されたものです。序曲の後に舞曲などの挿入曲が続きますが、なかでも第2曲として演奏される「ロンド」は後にブリテンが「青少年のための管弦楽入門」としてフルオーケストラ用に編曲したことにより良く知られています。
イギリスらしい爽やかな弦楽の中に、パーセルの音楽ならではの微妙な和声の移ろいや、一つのフレーズが終わる前に次のフレーズに移っていくような独特のメロディを味わっていただければと思います。
G.Ph.テレマン / リコーダーと弦楽のための組曲 イ短調
Georg Philip Telemann (1681-1767) / Ouverture (Suite) in A minor for Recorder, Strings and Basso Continuo
1. Ouverture
2. Les Plaisirs
3. Air a l’Italien (Largo-Allegro-Largo)
4. Menuet 1/Menuet 2
5. Rejouissance (Viste)
6. Passepied 1/Passepied 2
7. Polonoise
テレマンはバッハと同時代に活躍したドイツの作曲家で、多作で知られ、また当時は欧州全域でバッハをはるかに凌ぐ名声を得ていました。
バロック時代の音楽の先進国はイタリアとフランスであり、この二つの国の音楽のいずれかが優れているかは当時の大論争の的でした。イタリア音楽はヴィヴァルディの音楽に代表されるように、情熱的、躍動的で、大胆な変化により聴衆の意表を突く音楽です。一方でクープランなどのフランス音楽は、自然、繊細で、やさしく聴衆の耳を愛撫する音楽です。その対立の激しさたるや、フランスの宮廷作曲家の家系に生まれたF.クープランがイタリア様式の曲を作曲したときには、変名を使いイタリアの作曲家の作品として発表せざるを得なかったという逸話が残っている程です。
当時、この二つの様式を統合する試みも多くなされましたが、その上でもっとも大きな役割を果たしたのは、テレマンやバッハなどドイツの音楽家達でした。ドイツは音楽文化の後進国であったが故に、音楽家達はイタリア音楽とフランス音楽の両方をマスターせねばならず、その中で両者を織り込んだ「折衷様式」を編み出したのです。
「リコーダーと弦楽のための組曲」もそんな折衷様式の名曲です。まず、曲の形式である「組曲」はフランス様式のもので、楽章ごとのタイトルもフランス語でつけられています。一方、リコーダーをソロ楽器とし、その技巧的なパッセージと弦楽合奏を対比する点は、イタリア様式の協奏曲の原理を取り入れたものです。曲想もフランスの舞曲のリズムを基本としつつも、躍動的なイタリア風の旋律が用いられています。特に興味深いのは3曲目に「イタリア風エア」と題された曲が置かれていることで、イタリアの協奏曲の緩徐楽章を思わせるラルゴがアレグロの中間部をはさみ繰り返されます。今日の演奏ではラルゴを繰り返す際に、ソロ・リコーダーがイタリア風の装飾に挑戦しますのでご注目ください。
J.S.バッハ / オーボエとヴァイオリンのための協奏曲 ニ短調 BWV1060
Johann Sebastian Bach (1685-1750) / Concerto for Violin and Oboe in D minor BWV1060
1. Allegro
2. Adagio
3. Allegro
(演奏:鵜の木 コレギウム ムジクム)
U.C.M.もその名前を拝借している“コレギウム ムジクム”(音楽の集まり)。G.Ph.テレマンにより18世紀はじめ、学生・アマチュア愛好家を中心に組織された“ライプツィッヒ コレギウム ムジクム”を、J.S.バッハは10年余り指揮した。そこではバッハも、教会音楽とはまた別の愉しみを味わったにちがいない。彼はこの団体で、ヴィヴァルディ、アルビノーニらの作品に加えて、自作の器楽曲等も演奏した。BWV1060もおそらくそのレパートリーに含まれていただろう。この曲の現存する自筆譜は、バッハが既作の協奏曲のソロパートを2つのチェンバロ用に編曲したと考えられているものであるが、ソロパートの特徴からはヴァイオリンとオーボエをソロに据える協奏曲が存在したことが充分にうかがえる。今日では、その「復元版」での演奏の方が、むしろポピュラーになっている。
F.ドゥランテ / 協奏曲第1番 へ短調
Francesco Durante (1684-1755) / Concerto I in F minor
1. Un poco Andante - Allegro
2. Andante
3. Amoroso
4. Allegro
ドゥランテはイタリアのナポリで活躍した作曲家で、ペルゴレージやパイジェッロの師として知られますが、その生涯についてあまり詳しいことはわかっていません。オペラが盛んだったイタリアの音楽家としては珍しくオペラは手がけず、宗教音楽を中心に作品を残しています。その作風はバロック音楽とそれ以降の音楽の架け橋となるもので、古い音楽の要素と古典派やロマン派の音楽に通ずる要素が混在する独特のものです。今日演奏する協奏曲も、第1、第2楽章の重厚な対位法、第3、第4楽章のよく歌うメロディ、情熱的なフィナーレと変化に富んだ構成となっています。
G.F.ヘンデル / 合奏協奏曲 作品6-2 へ長調
Georg Friedrich Handel (1685-1759) / Concerto Grosso Op.6-2 in F major
1. Andante larghetto
2. Allegro
3. Largo-Larghetto andante, e piano-Largo- Larghetto andante, e piano
4. Allegro, ma non troppo
12曲からなる作品6はヘンデル54歳の1739年秋、わずか一ヶ月の間に作曲されました。合奏協奏曲はイタリアのコレッリによって作られた形式で、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリンなどからひとりの独奏者が選ばれて独奏楽器群(コンチェルティーノ)を形成し、合奏全体(リピエーノ)と交互に演奏していきます。作品6の2は緩、急、緩、急の4楽章で構成され、各楽章間は短いアダージオでつながれています。